1時間100ミリの雨ってどれくらい?暮らしに与える影響をシミュレーション

コミュニケーション

はじめに

「1時間に100ミリの雨」と聞いても、具体的なイメージはつきにくいもの。気象庁はこのレベルを“猛烈な雨”と表現し、屋外の活動は極めて危険とされます。ここでは日常シーン別に、時間経過で何が起きるかをシミュレーションし、取るべき行動を整理します。※実際の被害は地形・地盤・下水道能力により大きく変わります。


まずイメージ:バケツ何杯ぶん?

1時間100ミリ=「1㎡あたり10cmの水がたまる」量。
駐車場1台分(約2.5m×5m=12.5㎡)なら、約1.25立方メートル=浴槽6~7割の水が1時間で降り注ぐ計算です。これが道路や屋根、斜面から一気に流れ込みます。


タイムラインで見る都市のリスク

0〜10分

  • 側溝・雨樋が瞬時に満水。道路の端に“川”ができ始める。
  • 交差点の排水枡が追いつかず、水が渦を巻く。足首〜くるぶし程度の冠水が発生しやすい。
    行動:屋外にいるなら建物に退避。アンダーパス(陸下道)・地下出入口には近づかない。

10〜30分

  • 店舗の出入口や地下街のスロープが“逆流ポイント”に。
  • マンホールからの吹き上げ、水圧でフタがずれる事例も。
  • 低地・河川近くでは、用水路が溢れ出す。
    行動:地下は使わない。車は高い場所へ移動(立体駐車場の上階が安全)。

30〜60分

  • 低地の道路は膝〜腰の水位に。小型車は30cmの冠水でエンストしやすく、ドアが開かなくなることも。
  • 一戸建ての床下浸水が急増。排水ポンプも能力限界に。
    行動:外出不可。建物の2階以上へ垂直避難。電源タップや家電のコンセントは可能な範囲で抜く。

シーン別シミュレーション

1)通勤・通学

  • 徒歩:横殴りの雨+風で視界不良。マンホール周りの路面陥没・側溝の空隙に足を取られる危険。
  • 自転車:ブレーキ効きにくく転倒が多発。チェーン店の軒先で雨宿りできても、店側排水の逆流で浸水リスク。
  • 鉄道:線路冠水や土砂流入で抑止。駅構内の階段下・地下改札は滝状に水が流れ込みやすい。
    結論:無理な移動はNG。職場・学校へは状況写真+公式情報を添えて連絡し、待機判断を。

2)自動車

  • タイヤが半分隠れる水深で浮力が発生し操舵不能に。
  • アンダーパスは“溜まり場”。10分で胸の高さまで水位上昇する事例も。
    結論:走行中に前方冠水を見たらUターン。水面が静かでも下は深い溝の可能性。

3)住宅(木造2階建て想定)

  • 雨樋のゴミ詰まりで外壁伝いの滝→窓枠・配線孔から浸入。
  • 庭や駐車場の水が家屋に流れ込む“外水”が主因。
    対策
    • 玄関前は**水のう(ゴミ袋+水)**で簡易止水。
    • 洗濯機・冷蔵庫など床置き家電は発泡スチロール板やレンガで底上げ。
    • トイレ・排水口は逆流に注意(重い水でフタ、濡れタオルで応急シール)。

4)店舗・事務所

  • ガラス自動ドアの下端すき間が弱点。マットで堰を作ると逆効果のことも。
  • レジ下・サーバーラックは最下段を空けるレイアウトが安全。
    対策:開店中でもバックヤードのブレーカ位置と避難動線を全員で共有。

よくある誤解

  • 「短時間だから大丈夫」 → 30分で下水能力を超え、ピーク後もしばらく水が引かない
  • 「長靴があればOK」 → 見えない側溝やマンホールの段差で転倒・流出の危険。
  • 「車中は安全」 → 浸水は数分で窓の高さに。脱出困難になります。

事前準備チェックリスト(5分で確認)

  • 玄関・勝手口の簡易止水セット(厚手ゴミ袋、砂・水、養生テープ)。
  • 延長コード・電源タップの位置を床から10cm以上に。
  • 地域のハザードマップで“色が濃い場所”を再確認(避難先も2候補)。
  • スマホに自治体防災アプリ+気象アラートを必ず導入。
  • 車は高い場所に頭から駐車(いざという時すぐ前進退避)。

まとめ

1時間100ミリは、都市機能と生活が短時間で破綻するレベルの雨です。移動を止め、地下と低地を避け、建物の上層へ退避する——この3点が最優先。事前の小さな準備と、情報を見た瞬間の即断即行が、被害を大きく減らします。


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