はじめに:ちゃんと寝てるのに、なぜか疲れが取れない
「6時間以上寝たのにスッキリしない」
「夜中に何度も目が覚める」
「朝起きても疲れが残っている」
そんな悩みを抱える人が増えています💤
厚生労働省の調査によると、日本人の約20%が「睡眠の質に不満がある」と答えています。
実は“睡眠時間”よりも大切なのが、「睡眠の質」です。
8時間寝ても疲れが取れない人もいれば、6時間でもスッキリ目覚める人もいる――この違いは、睡眠の「深さ」にあります。
本記事では、科学的な視点から「熟睡できない理由」を解き明かし、今日から改善できる小さなヒントを紹介します🌙
読み終わる頃には、あなたの睡眠が変わり始めているはずです✨
そもそも「熟睡」とはどんな状態?
まずは、睡眠の仕組みを理解しましょう。
睡眠には2種類ある
睡眠は大きく分けて2つのステージを繰り返します。
レム睡眠(浅い眠り)
- 夢を見る時間
- 記憶を整理する
- 脳は活動している
- 体は休んでいる
- 全体の約20%を占める
ノンレム睡眠(深い眠り)
- 脳と体が完全に休む時間
- 特に深い段階を「徐波睡眠」と呼ぶ
- 脳内の老廃物が除去される
- 成長ホルモンが分泌される
- 免疫機能が整う
- 全体の約80%を占める
「熟睡」の正体
人が「熟睡した」と感じるのは、ノンレム睡眠の深い段階(特に”徐波睡眠”)がしっかり取れているときです。
この時間に:
- 脳内の老廃物(アミロイドβなど)が除去される
- 記憶が整理・定着される
- 免疫機能が回復する
- 筋肉や組織が修復される
- ストレスホルモンが低下する
👉 睡眠時間が長くても、徐波睡眠が少なければ「寝た気がしない」のです💤
睡眠サイクルは90分周期
睡眠は約90分サイクルで、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返します。
1晩の睡眠サイクル(7.5時間の場合)
- 入眠→深い眠り(ノンレム)→浅い眠り(レム)
- 深い眠り→浅い眠り
- 深い眠り→浅い眠り
- 深い眠り→浅い眠り
- 浅い眠り→目覚め
👉 最初の2〜3サイクル(約4.5時間)で深い眠りが集中します🌙
これが「熟睡のゴールデンタイム」です。
科学で見る「熟睡できない5つの原因」
なぜ熟睡できないのか?科学的に解明された5つの原因を見ていきましょう。
❶ ブルーライトによる”体内時計の乱れ”
スマホやPCの光には「ブルーライト」が含まれています。
ブルーライトの影響
- 脳を「昼」と錯覚させる
- 睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を抑制
- 体内時計を後ろ倒しにする
- 入眠を遅らせる
研究データ
寝る前2時間のスマホ使用で、メラトニン分泌が約55%減少(ハーバード大学研究)📱
寝る直前までSNSや動画を見ていると、体内時計が後ろ倒しになり、深い眠りに入りにくくなります。
📍対策
就寝1時間前は”デジタル断食”
- スマホを別の部屋に置く
- 充電は寝室の外で
画面をどうしても見るなら
- ナイトモード・ブルーライトカットをON
- ブルーライトカット眼鏡を使用
代わりにやること
- 読書(紙の本)📖
- ストレッチ
- 瞑想・深呼吸
❷ 夜のカフェインとアルコール
カフェインの残留時間
コーヒー・紅茶・エナジードリンクに含まれるカフェインは、摂取後6〜8時間も体内に残ります☕
体内でのカフェインの半減期
- 摂取直後:100%
- 3時間後:約50%
- 6時間後:約25%
- 9時間後:約12.5%
👉 午後3時にコーヒーを飲むと、夜11時でもまだ25%残っている!
アルコールの罠
アルコールは一時的に眠気を誘いますが、実は睡眠の質を大きく下げます🍺
アルコールが睡眠に与える影響
- 深い睡眠(ノンレム睡眠)を減少させる
- 夜中の覚醒を増やす
- レム睡眠を分断する
- 早朝覚醒を引き起こす
- 利尿作用でトイレに起きる
📍対策
カフェイン対策
- 午後3時以降のカフェインは控える
- 「ハーブティー」「白湯」に置き換える
- カモミール、ラベンダー、バレリアンルートが睡眠に◎
アルコール対策
- 就寝3時間前までに飲み終える
- 量を減らす(ビール1杯まで)
- 水を多めに飲む
�३ ストレスホルモン”コルチゾール”の影響
仕事や人間関係のストレスを感じると、体内でコルチゾールが分泌されます💼
コルチゾールとは
- 「戦う・逃げる」のための覚醒ホルモン
- 心拍数を上げる
- 血圧を上げる
- 脳を覚醒させる
寝る前に考えごとをしてしまう人は、脳が“緊急モード”のまま眠りについている状態です。
よくある思考パターン
- 「明日のプレゼン、大丈夫かな…」
- 「あの時、ああ言えばよかった…」
- 「やらなきゃいけないこと、まだある…」
これらの思考が脳を覚醒させ、深い眠りを妨げます🧠
📍対策
寝る直前に「考えない努力」は逆効果
→ むしろ考えが止まらなくなる
効果的な方法
①明日のToDoを書き出す
- 紙やメモアプリに書き出す
- 頭の中から「外に出す」
- 「明日やればいい」と脳に伝える✍️
②5分瞑想で脳をクールダウン
- 呼吸に意識を向ける
- 思考が浮かんでも、そっと流す
- 瞑想アプリ(Calm、Headspace)も◎
③4-7-8呼吸法
- 4秒かけて鼻から吸う
- 7秒息を止める
- 8秒かけて口から吐く
- 3〜4回繰り返す
この呼吸法は、副交感神経を活性化し、リラックス状態に導きます🌿
❹ 室温・湿度のアンバランス
理想的な寝室環境
- 温度:18〜20℃
- 湿度:50〜60%
暑すぎても寒すぎても、体温調整のために眠りが浅くなります。
体温と睡眠の関係
人は眠りに入る時、深部体温を下げることで深い眠りに入ります。
暑い部屋では体温が下がらず、深い眠りに入れません🥵
よくある失敗
- エアコンを切って寝る→夜中に暑さで覚醒
- 冬、暖房を切って寝る→寒さで目が覚める
- 湿度が低すぎる→喉が乾燥して目が覚める
📍対策
エアコン活用
- タイマー設定より“自動運転”が安定
- 風を直接体に当てない
- サーキュレーターで室温を均一に
加湿・除湿
- 加湿器・除湿器を併用して一定環境を保つ
- 冬は湿度40%以下にならないように
- 夏は湿度70%以上にならないように
寝具での調整
- 夏:吸湿性の高いシーツ(麻、綿)
- 冬:保温性の高い毛布
- 通年:通気性の良いマットレス
❺ 光・音・寝具など「微ストレス」
寝具の硬さ、シーツの素材、外からの物音――小さな不快感の積み重ねも熟睡を妨げます。
見落としがちな睡眠の妨害要因
①合わない枕
- 首の緊張を招く
- 深い眠りを阻害
- 朝の肩こり・頭痛の原因
②光の侵入
- 街灯・車のライト
- 電子機器のLED
- 早朝の日差し
③騒音
- 外の車の音
- 隣人の生活音
- パートナーのいびき
④寝具の不快感
- マットレスが硬すぎる/柔らかすぎる
- シーツが肌に合わない
- パジャマが締め付ける
📍対策
枕の調整
- 高さは「立った時の姿勢に近い」位置に
- 仰向けで寝た時、首が自然なカーブを保つ
- 横向きで寝た時、背骨がまっすぐ
- 1〜2年で買い替えを検討
光の遮断
- 遮光カーテン(1級遮光)
- アイマスク
- 電子機器のLEDにテープを貼る
音の対策
- 耳栓(ソフトタイプがおすすめ)
- ホワイトノイズアプリ
- 環境音アプリ(雨・波音など)
寝具の見直し
- マットレスは10年で買い替え
- シーツは肌触りの良い天然素材
- パジャマはゆったりしたもの
科学が示す「熟睡のゴールデンタイム」
眠り始めの最初の90分が、最も深いノンレム睡眠にあたります🌙
ゴールデンタイムで起きること
①体温が下がる
深部体温が約0.5〜1℃低下し、脳と体が休息モードに
②成長ホルモンが分泌される
1日の分泌量の約70%が最初の90分に集中
③体の修復が進む
筋肉、皮膚、内臓などの組織が修復される
④脳の老廃物が除去される
アルツハイマー病に関連するアミロイドβなどが排出される
⑤免疫機能が強化される
免疫細胞が活性化し、病気に対する抵抗力が高まる
👉 つまり、最初の90分を深く眠れる環境づくりが、熟睡のカギなのです🔑
最初の90分を守るために
入眠をスムーズにする
- 毎日同じ時間に寝る
- 寝る前のルーティンを作る
- リラックスした状態で布団に入る
深い眠りを妨げない
- 静かで暗い環境
- 快適な温度・湿度
- 適切な寝具
今日からできる”科学的熟睡習慣”
科学的に効果が証明されている、今日から始められる習慣を紹介します✨
①寝る90分前にお風呂(38〜40℃)で体温リセット
なぜ効果的?
お風呂で一時的に体温を上げると、その後の体温低下で深い眠りに入りやすくなります🛁
タイミング
- 就寝90分前がベスト
- 入浴時間は15〜20分
- お湯の温度は38〜40℃(ぬるめ)
熱すぎるお風呂は逆効果
- 42℃以上は交感神経を刺激
- 覚醒してしまう
- 就寝直前の入浴もNG
②寝る1時間前から照明を暖色に変更
光の色と睡眠の関係
青白い光(昼白色)→脳を覚醒させる
オレンジ色の光(電球色)→リラックスを促す
実践方法
- 寝室の照明を電球色に変える
- 調光できる照明にする
- 間接照明を活用
- キャンドルの灯り(火気注意)🕯️
③スマホをベッドから離して充電
スマホをベッドに置かない理由
- ブルーライトの影響
- 通知音で目が覚める
- 「ちょっと見よう」が止まらない
- 電磁波の影響(議論あり)
代わりに置くもの
- 紙の本📖
- ノート・ペン
- 水(常温)
④翌朝は太陽光で目覚める(体内時計を再セット)
朝日の重要性
朝日を浴びることで、体内時計がリセットされます☀️
効果
- メラトニンの分泌が止まる
- セロトニンの分泌が始まる
- 約14〜16時間後に自然な眠気
実践方法
- 起きたらすぐカーテンを開ける
- 5〜10分、窓際で過ごす
- 曇りでも効果あり
⑤同じ時間に寝て、同じ時間に起きる(休日も!)
体内時計の重要性
人間の体は約24.2時間の体内時計を持っています⏰
これを毎日リセットすることで、質の良い睡眠が得られます。
平日・休日の起床時間差
- 2時間以上のズレ→「社会的時差ボケ」
- 睡眠の質が低下
- 月曜日がつらくなる
理想
- 平日・休日とも同じ時間に起床
- 寝不足の時は昼寝で補う(15〜20分)
よくある睡眠の悩みQ&A
Q1. 何時間寝るのが理想?
A. 個人差がありますが、7〜8時間が目安です
年齢別の推奨睡眠時間
- 成人(18〜64歳):7〜9時間
- 高齢者(65歳以上):7〜8時間
ただし、質が良ければ6時間でも十分な人もいます。
「スッキリ目覚められるか」が重要な指標です✨
Q2. 寝つきが悪い時はどうすれば?
A. 無理に寝ようとしないことが大切です
20分経っても眠れない場合
- 一度ベッドから出る
- 別の部屋で静かな活動(読書、ストレッチ)
- 眠くなったら戻る
「寝なきゃ」というプレッシャーが、さらに眠れなくします💦
Q3. 夜中に目が覚めてしまう
A. 中途覚醒は様々な原因があります
主な原因
- ストレス・不安
- アルコール・カフェイン
- 頻尿(水分の取りすぎ、前立腺肥大など)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 更年期障害
対策
- 寝る前の水分を控える
- アルコール・カフェインを控える
- 専門医に相談(頻繁な場合)
Q4. 昼寝はしてもいい?
A. 15〜20分の昼寝はおすすめです
効果的な昼寝
- 時間:15〜20分
- タイミング:午後2〜3時
- 完全に横にならない(椅子で)
30分以上の昼寝はNG
- 深い眠りに入ってしまう
- 夜の睡眠に影響
- 起きた後ぼんやりする
Q5. 睡眠薬は使っていい?
A. 短期的には有効ですが、長期使用は避けましょう
睡眠薬は対症療法であり、根本的な解決にはなりません。
まずは
- 生活習慣の改善
- 睡眠環境の見直し
- ストレス管理
それでも改善しない場合は、睡眠専門医に相談を🏥
まとめ:熟睡は「努力」ではなく「整える技術」
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
最後に、熟睡のための重要ポイントをおさらいしましょう✨
✅ 熟睡とは深いノンレム睡眠がしっかり取れている状態
✅ 最初の90分が睡眠のゴールデンタイム
✅ ブルーライトは睡眠ホルモンを抑制 → 寝る1時間前はデジタル断食
✅ カフェインは6〜8時間残る → 午後3時以降は控える
✅ ストレスホルモンが熟睡を妨げる → ToDoを書き出し、瞑想でリラックス
✅ 理想の寝室環境 → 温度18〜20℃、湿度50〜60%
✅ 光・音・寝具の微ストレスを減らす → 遮光・防音・快適な寝具
✅ 入浴で体温リセット → 就寝90分前、38〜40℃のお湯
✅ 朝日で体内時計をリセット → 起きたらすぐカーテンを開ける
眠れない夜は「自分がダメだから」ではなく、脳と体の環境がズレているだけです。
科学的に整えることで、誰でも“深い眠り”を手に入れられます💤
明日のあなたが少しでも軽く、心地よく一日を始められるように――
「熟睡習慣」、まずは今日からスタートです🌙✨



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