1️⃣ はじめに:あなたのサービスもAWSに乗っているかもしれない
突然、自分のWebサービスやアプリが動かなくなる。
ログも見れない、管理画面にも入れない😱
そんなとき、多くの人がこう思います👇
「サーバー壊れた?」「設定ミス?」「自分のせい?」
しかし実際は、あなたではなくAWS(Amazon Web Services)側の障害かもしれません。
現代のWebサービスの多くは、AWS上で動いています。
自分が直接契約していなくても、利用しているツールやプラットフォームがAWSに依存しているケースは珍しくありません。
この記事では、AWS障害が起きたときに「何を確認し、どう対応すべきか」を、実践的に解説します✨
2️⃣ AWS障害とは?なぜ「自分のせいじゃない」のに止まるのか
AWSは”インフラの基盤”
AWS(Amazon Web Services)は世界最大のクラウド基盤で、
ECサイト、アプリ、ゲーム、政府機関までもが依存しています☁️
依存しているサービスの例
- Netflix(動画配信)
- Slack(ビジネスチャット)
- Notion(ドキュメント管理)
- 多くのスタートアップ
- 自治体の行政システム
👉 AWSの一部がダウンするだけで、複数のサービスが同時に停止します。
“自分のせいじゃない”障害の構造
あなたのサービス構成(例)
あなたのアプリ
↓
Heroku / Vercel / Firebase など
↓
AWS(実際のインフラ)
つまり、
👉 「自分のプログラムは正常」でも、「基盤が止まれば動かない」。
これがクラウド時代の”構造的リスク”です。
3️⃣ 障害発生!最初の5分でやるべきこと
パニックにならず、以下の手順で冷静に対応しましょう🧊
⏱️ 0分目:深呼吸する
まず落ち着きましょう。焦って設定を変えると、状況が悪化する可能性があります。
⏱️ 1分目:症状を確認する
チェック項目
- [ ] Webサイトが表示されない?
- [ ] 管理画面にログインできない?
- [ ] データベースに接続できない?
- [ ] APIが応答しない?
- [ ] 一部の機能だけ止まっている?
👉 「何が」「どの範囲で」止まっているかを把握する。
⏱️ 2分目:AWS障害かどうか判断する
確認方法
- AWS公式ステータスページをチェック
- https://health.aws.amazon.com/health/status
- X(旧Twitter)で検索
- 「AWS 障害」「AWS ダウン」「AWS outage」
- 自分の監視ツールをチェック
- New Relic、Datadog、UptimeRobotなど
👉 他のユーザーも同じ症状なら、AWS障害の可能性が高い。
⏱️ 3分目:社内・チームに共有
Slackなどで簡潔に報告
【障害発生】
現在、サービスが停止しています。
AWS側の障害の可能性を調査中です。
続報が入り次第、共有します。
👉 関係者に早めに知らせることで、混乱を防ぐ。
⏱️ 4分目:ユーザーへの一次報告を準備
SNSやステータスページに投稿する文章を準備
【サービス障害のお知らせ】
現在、一部の外部サービス障害により、
接続が不安定な状況です。
復旧に向けて対応中です。
ご不便をおかけし申し訳ございません。
👉 「何も分からなくても」一旦報告することが大切。
⏱️ 5分目:対応チェックリストを開く
この記事の次のセクションを見ながら、順番に確認していきましょう📋
4️⃣ サービスが止まったときに確認すべき8つのポイント
✅ ① AWS公式のステータスページを確認
チェック先
- AWS Service Health Dashboard
https://health.aws.amazon.com/health/status - 自分が使っているリージョンを確認(東京、オレゴン、バージニアなど)
- 使っているサービスを確認(EC2、S3、RDSなど)
見るべき情報
- 🔴 赤色:重大な障害
- 🟡 黄色:パフォーマンス低下
- 🟢 緑色:正常
👉 サービスごと・リージョンごとの障害状況がリアルタイムで分かります。
✅ ② 自社サービスの監視ツールをチェック
主な監視ツール
- New Relic:アプリケーションパフォーマンス監視
- Datadog:インフラ・アプリの統合監視
- UptimeRobot:Webサイトの稼働監視
- Pingdom:パフォーマンス監視
確認すること
- どのAPIが応答していないか
- どのデータベースが接続できないか
- エラーログの内容
👉 異常箇所(リージョン・API・DB)を特定します。
✅ ③ SNS・X(旧Twitter)でリアルタイム状況を検索
検索キーワード例
- 「AWS 障害」
- 「AWS ダウン」
- 「AWS outage」
- 「#AWSdown」
なぜSNSが有効?
- AWS公式より情報が早いことがある
- 他の開発者の対応を参考にできる
- 自分だけではないと分かり、冷静になれる
👉 他の開発者の投稿が一番早い情報源になることも。
✅ ④ ユーザーへの一次報告を出す
報告のポイント
- できるだけ早く(正確な情報が揃う前でもOK)
- 簡潔に(長文は不要)
- 次の更新タイミングを明示(「30分後に続報」など)
報告先
- 自社のステータスページ
- X(Twitter)公式アカウント
- アプリ内のお知らせ
- メール通知(緊急時のみ)
👉 「現在、一部の外部サービス障害により接続が不安定です」と発信するだけで、信頼性を保てます。
✅ ⑤ 顧客対応のテンプレートを準備しておく
問い合わせが来たときの返答例
お問い合わせありがとうございます。
現在、外部サービスの障害により、
一部機能がご利用いただけない状況です。
復旧次第、改めてご案内いたします。
ご不便をおかけし申し訳ございません。
ポイント
- 詳細が不明でも「調査中」と明確に伝える
- 原因がAWSだとしても、ユーザーには関係ない
- 「外部サービス」という表現でOK
👉 問い合わせ対応を標準化し、状況が不明でも「調査中」と明確に伝えましょう。
✅ ⑥ バックアップアクセスを検討
対策の種類
即座にできること
- キャッシュされたコンテンツの配信
- 静的ページへの切り替え
- メンテナンスページの表示
事前に準備していれば
- Google CloudやAzureへのフェイルオーバー
- 別リージョンへの自動切り替え
- バックアップDBからの読み取り
👉 完全復旧は難しくても、「一部機能だけでも動かす」選択肢を探る。
✅ ⑦ ログ・データのローカルバックアップを確認
確認すること
- 直近のデータバックアップはいつ?
- ログは取得できている?
- 復旧後に必要なデータは揃っている?
重要データの例
- ユーザーデータベース
- 取引記録
- アクセスログ
- 設定ファイル
👉 重要データを定期的にオフライン保存していれば、被害を最小化できます。
✅ ⑧ 復旧後に原因と影響範囲を社内共有
記録すべき内容
- 障害発生時刻
- 検知した方法
- 影響範囲(どの機能が止まったか)
- 対応内容
- 復旧時刻
- 総影響時間
共有先
- 開発チーム
- カスタマーサポート
- 経営層
👉 「何が止まり、どれくらいの時間影響したか」を振り返ることで、再発時の初動を早められます。
5️⃣ ユーザーへの告知テンプレート集
📢 初期報告(詳細不明の段階)
【サービス障害のお知らせ】
現在、一部の機能がご利用いただけない状況です。
原因を調査中です。
ご不便をおかけし申し訳ございません。
復旧次第、改めてご案内いたします。
次回更新:○○時○○分予定
📢 中間報告(原因判明)
【続報】サービス障害について
外部のクラウドサービス障害により、
現在も一部機能がご利用いただけない状況です。
現在、復旧作業を進めております。
今しばらくお待ちください。
影響範囲:
・ログイン機能
・データ保存機能
次回更新:○○時○○分予定
📢 復旧報告
【復旧のお知らせ】
本日○○時○○分より発生していた障害は、
○○時○○分に復旧いたしました。
ご利用の皆様にはご不便をおかけし、
誠に申し訳ございませんでした。
引き続き、安定したサービス提供に
努めてまいります。
📢 事後報告(詳細版)
【障害報告】○月○日のサービス停止について
■発生日時
○月○日 ○○:○○ 〜 ○○:○○(約○時間)
■原因
外部クラウドサービス(AWS)の障害
■影響範囲
・ログイン機能
・データ保存機能
・約○○名のユーザー様に影響
■今後の対応
・監視体制の強化
・バックアップ体制の見直し
・フェイルオーバー構成の検討
この度は多大なるご迷惑をおかけし、
誠に申し訳ございませんでした。
6️⃣ 「待つしかない」時間をどう過ごすか
クラウド障害は、基本的に“自分では直せない”トラブルです😓
焦って設定をいじるより、
👉 「何が起きているかを正確に把握する」
ことに集中しましょう。
💡 待ち時間にできること
①ユーザーへの説明文を準備
- 初期報告、中間報告、復旧報告の下書き
- Q&A形式の説明文
- SNS投稿文
②対応マニュアルを更新
- 今回の対応で良かった点・悪かった点
- 次回同じことが起きたときのチェックリスト
- 連絡フローの見直し
③関係者への報告資料作成
- 経営層への報告用スライド
- カスタマーサポート向けのFAQ
- 開発チーム向けの技術メモ
④競合他社の対応を調査
- 同じ障害を受けている他社はどう対応しているか
- SNSでの告知方法
- ステータスページの書き方
⑤深呼吸して休憩
- 焦っても復旧は早まらない
- 一旦離れて、冷静さを取り戻す
- コーヒーを飲んで気分転換☕
7️⃣ 障害対応タイムライン:実例で学ぶ
📅 架空のケーススタディ
シチュエーション
小規模ECサイトを運営。AWS(東京リージョン)で運用中。
14:00 – 障害発生
- ユーザーから「商品ページが開けない」と問い合わせ
- 管理画面にもアクセスできない
14:01 – 初期確認
- AWS Status Pageを確認 → 🔴東京リージョンに障害
- Twitter検索 → 他の開発者も同様の症状を報告
14:03 – 社内共有
- Slackで開発チーム・カスタマーサポートに共有
- 「AWS障害のため、復旧待ち」と状況説明
14:05 – ユーザー告知
- X(Twitter)で第一報を投稿
- ステータスページを更新
14:10 – 問い合わせ対応準備
- カスタマーサポート向けのテンプレート作成
- 「外部サービス障害のため復旧作業中」と統一
14:30 – 中間報告
- AWS側から「復旧作業中」の発表
- ユーザーに中間報告を投稿
15:30 – 部分復旧
- 一部の機能が復旧
- 「商品閲覧は可能。購入機能はまだ利用不可」と告知
16:00 – 完全復旧
- 全機能が正常化
- 復旧報告を投稿
16:30 – 事後対応
- 影響範囲と対応内容を社内共有
- 次回に向けた改善点をリストアップ
📝 このケースで良かった点
✅ 素早い初動(1分以内に状況確認)
✅ 早期の告知(5分以内にユーザーへ報告)
✅ 定期的な更新(30分ごとに状況共有)
✅ 事後の振り返り(改善点を記録)
8️⃣ 復旧後にやるべき5つのこと
✅ ①影響範囲の確認
チェック項目
- 何件の注文が失敗したか
- 何人のユーザーが影響を受けたか
- データの欠損はないか
- 財務的な損失はあるか
✅ ②ユーザーへの謝罪と説明
報告内容
- 障害の原因
- 影響範囲
- 再発防止策
- (必要に応じて)補償内容
✅ ③社内での振り返り
議題
- 初動対応は適切だったか
- ユーザー告知のタイミングは適切だったか
- 改善できる点はあるか
✅ ④対応マニュアルの更新
追加すべき内容
- 今回の障害で学んだこと
- 次回の対応フロー
- 連絡先リスト
- テンプレート集
✅ ⑤再発防止策の検討
技術的対策
- マルチクラウド構成の検討
- 自動フェイルオーバーの実装
- 監視体制の強化
運用的対策
- 定期的な障害訓練
- 対応チームの役割分担明確化
- エスカレーションフローの整備
9️⃣ よくある質問Q&A
Q1. AWS障害はどのくらいの頻度で起きる?
A. 年に数回、大きな障害が発生しています
- 2021年〜2024年で10回以上の大規模障害
- 小規模な障害はさらに頻繁
👉 「起きないもの」ではなく「必ず起きるもの」として備えましょう。
Q2. 障害時の損失は補償される?
A. 基本的には補償されません
AWSの利用規約では、障害による損失の補償は限定的です。
できること
- SLA(サービス品質保証)に基づく利用料金の一部返金
- ただし、売上損失などは補償対象外
👉 だからこそ、自分での備えが重要です。
Q3. 個人開発者でもできる対策は?
A. あります!
- 重要データのローカルバックアップ
- 静的サイトジェネレーターの活用(障害時も表示可能)
- 複数のホスティングサービスの併用
- ステータスページの準備
👉 小規模でも、できることはたくさんあります。
Q4. AWS以外のクラウドに移行すべき?
A. 一概には言えません
- AWSは障害も多いが、機能も豊富
- 他のクラウド(Azure、GCP)も障害は起きる
- 完璧なクラウドは存在しない
👉 「どこを使うか」より「どう備えるか」が重要です。
🔟 まとめ:クラウド時代の”トラブル耐性”を育てよう
AWS障害は、単なるトラブルではなく“社会現象”です🌐
便利な世界の裏には、一極集中の脆さが隠れています。
しかし、備えておけば怖くない。
正しく状況を把握し、ユーザーと誠実に向き合うことで、
あなたのサービスの“信頼性”はむしろ強化されます💪
今日から始める3つの準備
✅ AWS Status Pageをブックマークする
✅ ユーザー告知のテンプレートを作っておく
✅ 障害対応マニュアルをチーム内で共有する
「止まったときの対応こそ、信頼を生むチャンス」
障害は避けられません。
でも、対応の質は選べます。
冷静に、誠実に、そして学び続ける姿勢で──
クラウド時代の”トラブル耐性”を育てていきましょう✨



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