1. 「やる気が出ない」は”意志の弱さ”ではない
朝、勉強しようと思っても続かない。
運動しようと思っても3日で終わる。
そんな自分を「根性が足りない」と責めていませんか?
でもそれは間違いです。
人間の脳は、”行動を続ける”より”現状を維持する”ように設計されています。
なぜ人は「やろう」と思ったことができないのか
脳科学の研究によれば、人間の脳には「変化に抵抗する機能」が備わっています。これは生存本能の一部で、危険を避け、エネルギーを温存するためのメカニズムです。
つまり、
- 「明日から早起きしよう」と思っても起きられない
- 「今日こそ勉強しよう」と思っても気づいたらスマホを見ている
- 「ダイエットしよう」と思っても続かない
これらはすべて脳の正常な反応なのです。
やる気は”感情”であり、感情は不安定
さらに重要なのは、やる気とは「感情」であり、感情は必ず波があるという事実です。
感情には以下の特徴があります:
- 📉 波がある → 高い日もあれば低い日もある
- ⏱️ 一時的 → 3日坊主になるのは当たり前
- 🎯 外的要因に左右される → 疲れ、天気、他人の言葉で簡単に揺らぐ
だから、やる気に頼った行動は必ず破綻します。
「今日はやる気が出ないからやらない」を繰り返すうちに、行動はゼロになる。これが現実です。
あなたは弱くない、仕組みがないだけ
多くの人が自分を責めていますが、問題は「意志の弱さ」ではありません。
問題は「仕組みがないこと」です。
- 意志の力 → 有限で、すぐに枯渇する
- 仕組みの力 → 無限で、自動的に動く
この違いを理解することが、すべての出発点です。
2. 脳は”変化”を嫌う臓器──可塑性のジレンマ
脳科学の世界では、「可塑性(かそせい)」という言葉があります。
これは、脳が変わる力を持ちながらも、変化には強い抵抗を示すという意味です。
脳は「省エネモード」で生きている
人間の脳は、体重の約2%しかないのに、全身のエネルギーの約20%を消費する”超燃費の悪い臓器”です。
そのため、脳は常にエネルギーを節約しようとします。
新しいことを始めようとすると、脳は以下のように反応します:
❌ 「これは知らないパターンだ」
❌ 「エネルギーを使いたくない」
❌ 「今までのやり方の方が安全だ」
→ 結果:「やらない」という選択をする
「いつもの行動」は脳にとって楽
一方で、いつもやっていることは自動化されているため、脳はほとんどエネルギーを使いません。
たとえば:
- 朝起きてすぐスマホを見る
- 帰宅したらテレビをつける
- 夜遅くまでYouTubeを見る
これらは「悪い習慣」に見えますが、脳にとっては「エネルギーを使わない楽な行動」なのです。
脳の「自動運転」を味方につける
重要なポイントは、この「自動化」の仕組みは、良い習慣にも悪い習慣にも等しく働くということです。
つまり、一度良い習慣を自動化してしまえば、それも「いつもの行動」になり、脳はエネルギーを使わずに実行できるようになります。
習慣化までの期間:
- 簡単な習慣(水を飲む、ストレッチ)→ 約21日
- 中程度の習慣(読書、運動)→ 約66日
- 難しい習慣(早起き、勉強)→ 約90日
最初の2〜3週間が最も辛いですが、それを超えると脳が「これが普通」と認識し始めます。
3. “やる気”より強いのは、”仕組み”と”環境”
ここで重要な事実があります。
心理学では、人間の行動の約40%は「習慣」でできているといわれます。
つまり、仕組みを整えれば、やる気がなくても動けるのです。
🕰️ ① 時間を決める(脳にルールを与える)
「朝7時は勉強する」と決めることで、脳が”準備モード”に入ります。
なぜ時間を決めると効果があるのか?
脳は「パターン認識」が得意です。同じ時間に同じ行動を繰り返すと、脳は「この時間はこれをする時間だ」と学習します。
実際、以下のような実験結果があります:
- 毎日同じ時間に運動する人は、継続率が3倍高い
- 食事の時間が不規則な人は、ストレスホルモンが高い
- 就寝時間が一定の人は、睡眠の質が向上する
具体例
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 「時間があるときに勉強しよう」 | 「毎朝7時〜7時30分は英語の勉強」 |
| 「気が向いたら運動する」 | 「毎週月・水・金の19時は筋トレ」 |
| 「暇なときに読書する」 | 「就寝前の21時〜21時30分は読書」 |
ポイント: 曖昧さをゼロにすること。「いつやるか」が明確になった瞬間、脳は迷わなくなります。
🏡 ② 環境を変える(誘惑を減らす)
スマホを別部屋に置くだけで集中力は大幅にアップします。
環境が行動を決める
ある研究では、目の前にお菓子があるだけで、食べる量が平均で28%増えることがわかっています。
つまり、意志の力よりも、環境の力の方が圧倒的に強いのです。
具体的な環境設計
| 対象 | 変更方法 |
|---|---|
| 📱 スマホ | 別部屋に置く、通知をオフにする、グレースケール表示にする |
| 🍪 お菓子 | 見えない場所に保管する、買い置きをしない |
| 📺 テレビ | リモコンを引き出しに入れる、コンセントを抜く |
| 📚 本 | 必ず見える場所に置く、ベッドサイドに配置 |
| 💻 PC | 作業スペースに常に開いておく、起動時に作業アプリが立ち上がるよう設定 |
「見える化」の法則:
やりたいことは目に入る場所に、やめたいことは目に入らない場所に。これだけで行動が変わります。
📋 ③ トリガーを設定する(行動のスイッチ)
「歯を磨いたら読書する」「帰宅したらPCを開く」など、行動を”連鎖”させると自動化が進みます。
これを心理学では「イフゼンプランニング(if-then planning)」と呼びます。
実践例
☕ 「コーヒーを淹れたら」→「10分間読書する」
🚿 「シャワーを浴びたら」→「ストレッチをする」
🍽️ 「昼食後に」→「5分間散歩する」
🚪 「帰宅したら」→「すぐに運動着に着替える」
⏰ 「アラームが鳴ったら」→「スマホを見ずに起きる」
このように、すでに習慣化している行動の後に、新しい行動を接続すると、続けやすくなります。
トリガー設定の3つのコツ
- 既存の習慣に紐付ける → 新しく時間を作らなくていい
- 物理的な行動をトリガーにする → 「〜と思ったら」ではなく「〜したら」
- トリガーと行動の間隔を短くする → 「歯を磨いたらすぐに」がベスト
4. “やる気の波”を前提にした設計を
人間はどんなに意識が高くても、やる気の波があります。
大事なのは、「波がある前提で設計する」ことです。
① “完璧にやる”ではなく”最低ラインを決める”
多くの人が挫折する理由は、「完璧にやろう」とするからです。
例:ダイエット
| 失敗パターン | 成功パターン |
|---|---|
| ❌ 「毎日1時間ジョギングする」 → 雨の日、疲れた日にできない → 挫折 | ✅ 「最低でも5分間ストレッチする」 → どんな日でもできる → 継続 |
| ❌ 「毎日5km走る」 | ✅ 「最低でも外に出て歩く」 |
| ❌ 「毎日筋トレ30分」 | ✅ 「最低でも腕立て伏せ3回」 |
「最低ライン」の設定ルール
- ✅ 5分以内でできる
- ✅ 道具や場所を選ばない
- ✅ 疲れていてもできる
- ✅ 「やらなかった」より「少しでもやった」を選べる
このラインを設定することで、「やる気がない日」でも行動できます。
② “毎日続ける”より”休んでも戻れる仕組み”をつくる
完璧主義の罠は、「1日でも休むと全てが崩れる」と思い込むことです。
「2日ルール」の活用
行動科学では、「2日連続で休まない」というルールが効果的とされています。
✅ 1日休む → 問題なし、翌日再開
❌ 2日連続で休む → 習慣が崩れ始める
❌❌ 3日以上休む → リセットされる可能性大
重要なのは「完璧な継続」ではなく「すぐに戻ること」です。
復帰しやすい仕組みの例
| 仕組み | 効果 |
|---|---|
| カレンダーに記録する | 視覚的に「休んだ日」が分かり、2日目を防げる |
| リマインダーを設定 | 休んだ翌日に「今日は絶対やる日」と通知 |
| 復帰用の超簡単版を用意 | 「1分バージョン」を作っておく |
| 休んだ理由を記録 | パターンが見えて対策できる |
③ “やらなきゃ”ではなく”やりたくなる導線”を置く
義務感で動くと、いつか爆発します。
「やりたくなる」要素の追加
勉強の場合:
- ❌ 「TOEICの点数を上げなきゃ」
- ✅ 「好きな海外ドラマを字幕なしで見たい」
運動の場合:
- ❌ 「健康のために運動しなきゃ」
- ✅ 「好きな音楽を聴きながら体を動かす」
仕事の場合:
- ❌ 「スキルアップしなきゃ」
- ✅ 「この技術を使って面白いものを作りたい」
報酬システムの設定:
📌 小さな報酬(毎日)
→ 好きな飲み物を飲む、好きな曲を聴く
📌 中くらいの報酬(1週間)
→ 好きなスイーツを買う、映画を見る
📌 大きな報酬(1ヶ月)
→ 欲しかった物を買う、旅行に行く
5. 「努力しなくても続く人」がやっていること
続く人の特徴は、やる気を信じていないことです。
彼らは、やる気がなくても動けるように、
- 環境を整え
- 習慣を軽くし
- 自分を責めない
だから続けられる。
成功者の共通点:「努力の自動化」
ケース1:毎朝5時に起きて勉強する人
見えない仕組み:
- 前夜21時には寝る(睡眠を確保)
- 起きたらすぐコーヒーを淹れる(トリガー行動)
- 勉強道具は前夜に机に出しておく(準備の自動化)
- スマホは別室に置いて寝る(誘惑の排除)
- 「5時に起きられなかったら6時」という予備プランがある(完璧主義の回避)
→ 本人は「習慣だから」と言うが、実は緻密な仕組みがある
ケース2:毎日ジムに通う人
見えない仕組み:
- ジムが会社と家の間にある(動線上に配置)
- ジムウェアは常にバッグに入れている(準備不要)
- 行かない日は「休養日」として事前に決めている(罪悪感ゼロ)
- ジム仲間と待ち合わせしている(社会的コミットメント)
- 「今日は10分だけ」というルールがある(最低ライン設定)
→ 本人は「運動が好きだから」と言うが、実は行かざるを得ない構造になっている
ケース3:毎日本を読む人
見えない仕組み:
- 本は常に持ち歩く(待ち時間=読書時間)
- スマホのホーム画面に読書アプリ(アクセスしやすい)
- 就寝前30分はスマホを触らない(読書タイム確保)
- 「1ページでもOK」というルール(ハードル最低化)
- 読んだページ数を記録(見える化で達成感)
→ 本人は「読書が趣味だから」と言うが、実は読まざるを得ない環境を作っている
共通する3つの原則
① 意志の力に頼らない
- やる気がある日もない日も、同じように動ける設計
- 「頑張る」ではなく「自動的に体が動く」状態を作る
② 環境が行動を誘導する
- 良い行動はしやすく、悪い行動はしにくく
- 選択の余地を減らす(迷わせない)
③ 失敗を前提にしている
- 完璧主義を捨てる
- 「休んでも戻れる」システムがある
6. 【実践編】行動を自動化する7つの仕組み
具体的に、今日から使える仕組みを紹介します。
仕組み①:20秒ルール
原則: やりたい行動は20秒短縮し、やめたい行動は20秒延長する
実践例
| やりたいこと | 20秒短縮の方法 |
|---|---|
| 勉強 | 教科書を常に開いた状態で机に置く |
| 運動 | 運動着を着たまま寝る、ヨガマットを敷きっぱなしにする |
| 読書 | 本を枕元に開いた状態で置く |
| 楽器練習 | 楽器をケースから出しっぱなしにする |
| やめたいこと | 20秒延長の方法 |
|---|---|
| スマホ | 別室に置く、パスワードを複雑にする |
| テレビ | リモコンを引き出しに入れる、コンセントを抜く |
| お菓子 | 高い場所に保管、鍵付きの箱に入れる |
| SNS | アプリを削除、通知を完全オフ |
なぜ20秒なのか?
人間の脳は、20秒以上の手間がかかると「面倒だ」と判断し、行動を起こさなくなる傾向があるためです。
仕組み②:バッチ処理
原則: 似た行動をまとめて一気にやる
実践例
📅 日曜日の夜(30分)
→ 1週間分の食事の下準備
→ 1週間分の服を選んでおく
→ 1週間のスケジュールを確認
💻 月曜日の朝(15分)
→ 今週やるタスクをすべてリストアップ
→ 優先順位をつける
→ カレンダーに落とし込む
📧 1日2回(朝・夕方、各15分)
→ メールをまとめて処理
→ それ以外の時間は一切見ない
効果:
- 判断回数が減る → 脳の疲労が減る
- 切り替えコストがゼロ → 効率が上がる
- 「今日は何をしよう」と迷わない
仕組み③:実況中継法
原則: 自分の行動を実況する
やり方
頭の中で(または声に出して)自分の行動を実況します。
「さて、今から勉強を始めます」
「教科書を開きました」
「1ページ目を読んでいます」
「なるほど、ここはこういう意味ですね」
なぜ効果があるのか?
- 脳が「今やっていること」に集中する
- 自動的にメタ認知(客観視)ができる
- 「気づいたらスマホを見ていた」が激減する
仕組み④:10分ルール
原則: とりあえず10分だけやる
実践方法
「10分だけ勉強する」
「10分だけ掃除する」
「10分だけ走る」
心理学的効果:
人間の脳は「作業興奮」という性質を持っています。つまり、やり始めると、やる気が出てくるのです。
統計データ
- 10分始めた人の約70%は、そのまま継続する
- 「1時間やる」と決めた人の継続率:約30%
- 「10分だけ」と決めた人の継続率:約70%
ポイント: 10分で終わってもOK。「少しでもやった」という事実が重要です。
仕組み⑤:環境の段階設計
原則: 環境を「やりやすさ」のレベル別に設計する
レベル1:超簡単環境(疲れた日用)
- 5分でできること
- 道具不要
- 場所を選ばない
例: ストレッチ、1分間瞑想、1ページ読書
レベル2:普通環境(通常日用)
- 30分程度の作業
- 最低限の準備
- 自宅でできる
例: 勉強、運動、料理の下準備
レベル3:最高環境(やる気がある日用)
- 1時間以上の深い作業
- 完璧な環境
- 外出もOK
例: カフェで集中作業、ジムでガッツリトレーニング、図書館で長時間勉強
活用法:
「今日はレベル1の日だな」と判断したら、無理せずレベル1の環境を選ぶ。これにより、完全に休む(ゼロ)を避けられます。
仕組み⑥:記録の自動化
原則: 行動を記録する(ただし手間をかけない)
簡単な記録方法
| 方法 | 詳細 |
|---|---|
| カレンダーに○をつける | やった日に○、やらなかった日は空白 |
| アプリで自動記録 | 歩数計、読書記録アプリなど |
| 写真を撮る | 机の上の勉強道具、ジムの様子など |
| スタンプカード方式 | 10回達成でご褒美 |
記録の心理効果:
- 視覚的に成果が見える → モチベーション維持
- 「やらなかった日」が明確 → 2日連続を防げる
- データが溜まる → 改善策が見える
注意: 記録自体が負担になると本末転倒。最もシンプルな方法を選ぶこと。
仕組み⑦:社会的コミットメント
原則: 他人を巻き込む
実践例
📱 SNSで宣言する
→ 「毎日30分勉強します」
👥 友人と一緒にやる
→ 「毎週土曜日にジムに行く」
💰 お金をかける
→ パーソナルトレーナーを雇う、オンライン講座に申し込む
📊 進捗を共有する
→ 勉強記録をXに投稿、友人と報告し合う
なぜ効果があるのか?
人間は「他人に見られている」「約束を守りたい」という心理を持っています。この社会的プレッシャーを味方につけるのです。
注意点:
- プレッシャーが強すぎるとストレスになる
- 「できなかった時に責めない人」を選ぶ
- 報告が負担にならない頻度にする
7. よくある失敗パターンとその対処法
実際に仕組みを作っても、うまくいかないことがあります。典型的な失敗パターンと対処法を紹介します。
失敗パターン①:完璧を求めすぎる
症状
- 「毎日やらないと意味がない」と思い込む
- 1日でも休むと「もうダメだ」と諦める
- 最低ラインを設定せず、常にフルパワーを求める
対処法
✅ 「2日連続で休まない」ルールを採用
✅ レベル1環境(超簡単版)を必ず用意
✅ 「やらなかった」ではなく「少しでもやった」にフォーカス
マインドセット変更:
- ❌ 「毎日1時間勉強する」
- ✅ 「週に5日、1日30分を目指す。ダメな日は5分でOK」
失敗パターン②:仕組みが複雑すぎる
症状
- やたらと細かいルールを作る
- アプリを10個も使う
- 記録に30分かかる
対処法
✅ ルールは3つ以内
✅ 使うアプリは1つだけ
✅ 記録は10秒で終わる方法にする
シンプル化の例:
| 複雑な仕組み | シンプルな仕組み |
|---|---|
| 10個のアプリで時間管理 | カレンダーに○をつけるだけ |
| 詳細な勉強計画表 | 「朝7時に30分」だけ決める |
| 食事の完璧な記録 | 「野菜を食べたか」だけチェック |
失敗パターン③:環境を変えていない
症状
- スマホが近くにあるのに「触らない」と決めている
- お菓子が見える場所にあるのに「食べない」と決めている
- テレビがついているのに「勉強する」と決めている
対処法
✅ スマホは別室に置く(物理的に距離を取る)
✅ お菓子は買わない(そもそも家に置かない)
✅ テレビのコンセントを抜く(見られない状態にする)
環境変更チェックリスト:
- [ ] やりたいことに必要なものは、手の届く場所にあるか?
- [ ] やめたいことに必要なものは、物理的に遠いか?
- [ ] 誘惑は視界に入らないか?
- [ ] 開始するまでの手順は3ステップ以内か?
失敗パターン④:トリガーが曖昧
症状
- 「時間があるときにやる」→ 結局やらない
- 「気が向いたらやる」→ 気が向かない
- 「早めにやる」→ いつが早めか分からない
対処法
✅ 「毎朝7時に」と具体的に決める
✅ 「コーヒーを飲んだら」など既存の行動に紐付ける
✅ アラームやリマインダーで強制的にトリガーを作る
トリガーの明確化:
| 曖昧なトリガー | 明確なトリガー |
|---|---|
| 「時間があるとき」 | 「毎朝7:00」 |
| 「気が向いたら」 | 「コーヒーを淹れたら」 |
| 「早めに」 | 「18:00までに」 |
| 「余裕があれば」 | 「昼食後すぐに」 |
失敗パターン⑤:目標が大きすぎる
症状
- 「今年中にTOEIC900点」
- 「3ヶ月で10kg痩せる」
- 「毎日2時間勉強する」
対処法
✅ 目標を1/10にする
✅ 「今月」「今週」レベルに細分化
✅ 「最初の1ヶ月は習慣化だけが目標」と割り切る
目標の適正化:
| 大きすぎる目標 | 適正な目標 |
|---|---|
| 「TOEIC900点」 | 「毎日10分英語に触れる」 |
| 「10kg痩せる」 | 「週3回、10分運動する」 |
| 「毎日2時間勉強」 | 「毎日10分勉強する」 |
重要: 最初の1〜2ヶ月は「習慣を作ること」だけに集中。成果は後からついてきます。
8. Q&A:行動が続かない人のための疑問解決
Q1:どうしてもやる気が出ない日はどうすればいい?
A: そういう日のために「最低ライン」を設定しておきます。
通常:30分勉強
最低ライン:1ページだけ読む
通常:30分運動
最低ライン:ストレッチ3分
通常:30分読書
最低ライン:1文だけ読む
ポイント: 「ゼロ」を避けることが最優先。1でも100より0に近いのです。
Q2:仕組みを作ったのに続かない。何が悪い?
A: 以下をチェックしてください。
□ 最低ラインは5分以内か?
□ トリガーは明確か?(「〜したら」の形になっているか)
□ 環境は整っているか?(誘惑は遠いか、必要なものは近いか)
□ 完璧主義になっていないか?
□ 記録は簡単か?(10秒以内に終わるか)
多くの場合、「ハードルが高すぎる」ことが原因です。徹底的にハードルを下げてください。
Q3:習慣化にはどれくらい時間がかかる?
A: 行動の難易度によって異なります。
| 習慣の種類 | 必要な期間 | 例 |
|---|---|---|
| 簡単 | 21日 | 水を飲む、ストレッチ |
| 中程度 | 66日 | 読書、運動 |
| 難しい | 90日以上 | 早起き、勉強、言語学習 |
重要: この期間は「毎日完璧にやった場合」ではなく、「2日連続で休まずに続けた場合」です。
Q4:一度に複数の習慣を始めてもいい?
A: おすすめしません。
理由:
- 脳のキャパシティは限られている
- 一度に複数のことを自動化するのは困難
- 1つ失敗すると全てが崩れるリスクがある
推奨順序:
1ヶ月目:習慣A だけ
2ヶ月目:習慣A + 習慣B
3ヶ月目:習慣A + 習慣B + 習慣C
1つずつ確実に自動化してから、次に進みましょう。
Q5:「やらなきゃ」という義務感が辛い。どうすればいい?
A: 義務感で動くのは長続きしません。以下の方法を試してください。
方法①:「やりたい理由」を明確にする
❌ 「英語を勉強しなきゃ」
✅ 「海外ドラマを字幕なしで見たい」
❌ 「運動しなきゃ」
✅ 「好きな服を格好良く着たい」
❌ 「読書しなきゃ」
✅ 「この本の続きが気になる」
方法②:楽しい要素を追加する
- 好きな音楽を聴きながらやる
- 好きな場所でやる(カフェ、公園など)
- 好きな飲み物を飲みながらやる
- 友達と一緒にやる
方法③:小さなご褒美を設定する
勉強30分 → 好きなお菓子を食べる
運動30分 → 好きな動画を見る
1週間継続 → 好きなものを買う
Q6:環境を変えられない場合はどうすればいい?
A: 環境を「完全に変える」必要はありません。「少しだけ変える」でも効果があります。
変えられない状況の例
- 狭い部屋で作業部屋を分けられない
- 家族がいてテレビを消せない
- スマホを別室に置けない(仕事で使う)
小さな変更の例
| 制約 | 小さな変更 |
|---|---|
| 部屋を分けられない | パーティションで区切る、机の向きを変える |
| テレビを消せない | ノイズキャンセリングイヤホンを使う |
| スマホが必要 | 勉強中は機内モードにする、通知を全オフ |
| 家族が話しかけてくる | 「この時間は集中タイム」と伝える、ドアに札をかける |
重要: 0か100かではなく、1でも環境を改善すれば効果があります。
Q7:失敗してやめてしまった習慣を再開するには?
A: 以下の手順で再開してください。
ステップ1:失敗の原因を分析する
→ なぜ続かなかったのか?(ハードルが高い、トリガーが曖昧、環境が悪い)
ステップ2:仕組みを改善する
→ ハードルを下げる、トリガーを明確にする、環境を整える
ステップ3:「最低ライン」だけで再開する
→ 「前は30分やっていたけど、今回は5分から」
ステップ4:1週間続いたら少しずつ増やす
→ 焦らず、自動化を最優先
マインドセット:
失敗は「自分がダメだから」ではなく「仕組みが悪かっただけ」です。自分を責めず、仕組みを改善しましょう。
9. まとめ:努力ではなく、設計で人生は変わる
最も重要な3つのポイント
① やる気に頼るな、仕組みに頼れ
- やる気は必ず波がある
- 仕組みは波がない
- 自動化すれば、やる気不要
② 環境が人を作る
- 意志の力 < 環境の力
- 「やめる」より「できない環境にする」
- 「頑張る」より「自然とそうなる環境にする」
③ 完璧主義を捨てろ
- 100を目指して0になるより、10を続ける方が強い
- 「休んでも戻れる仕組み」を作る
- 最低ラインを設定して、ゼロを避ける
今日からできる3つのアクション
✅ アクション1:1つだけ習慣を選ぶ
→ 欲張らず、1つだけ
✅ アクション2:最低ラインを決める
→ 「5分バージョン」を作る
✅ アクション3:環境を1つ変える
→ スマホを別室に置く、机を整理する、など
最後に:努力しているように見える人ほど、努力していない
努力しなくても続く人の正体は、「努力しなくても動ける仕組み」を作っている人です。
彼らは、
- やる気を信じていない
- 環境を整えている
- 習慣を軽くしている
- 自分を責めない
だから続けられる。
あなたも、やる気ではなく仕組みで動く人になってください。
そうすれば、「努力しているのに続かない」という苦しみから解放され、「自然と続いている」という状態に到達できます。
行動を”テンション”ではなく”ルール”で動かす。
これが、自動化の第一歩です。
参考:習慣化チェックリスト
習慣を作る前に、以下をチェックしてください。
設計段階のチェックリスト
- [ ] 1つの習慣に絞っているか?
- [ ] 最低ラインは5分以内か?
- [ ] トリガーは明確か?(「〜したら」の形)
- [ ] 環境は整っているか?
- [ ] 記録方法は10秒以内で終わるか?
- [ ] 「完璧」ではなく「継続」を目指しているか?
実行中のチェックリスト
- [ ] 2日連続で休んでいないか?
- [ ] 最低ラインすら辛くなっていないか?
- [ ] 環境に変化が必要ないか?
- [ ] トリガーは機能しているか?
- [ ] 義務感ではなく、少しでも楽しめているか?
停滞時のチェックリスト
- [ ] ハードルが高すぎないか?
- [ ] 完璧主義になっていないか?
- [ ] 環境が崩れていないか?
- [ ] 他のことに手を出しすぎていないか?
- [ ] 自分を責めていないか?
あなたの人生を変えるのは、強い意志ではなく、優れた仕組みです。
今日から、仕組みで生きる人になりましょう。



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