はじめに:毎回話題になるのは“仕組み”があるから
「ニンテンドーダイレクト」(以下、ニンダイ)は、放送されるたびにSNSで大盛り上がり。
でもこれは偶然じゃありません。
任天堂は 放送前 → 放送中 → 放送後 まで、すべて計算した仕組みで動いています。
だからこそ毎回のように確実に“バズ”が生まれるのです。
その秘密は大きく分けて5つ。
- 自分たちで発表を完全コントロール
- 期待をうまく調整してがっかりを防ぐ
- 番組の構成が圧倒的にうまい
- 世界同時配信でグローバルに盛り上げる
- サプライズ演出が神がかっている
ちなみにニンダイは2011年から始まった任天堂独自の番組で、1回25〜60分程度。回によって内容やボリュームが異なるのも特徴です。
1. 自分たちで全部コントロール:他社に依存しない強さ
昔はE3、今は自社発表がメイン
以前はE3という世界最大級のゲームイベントで発表していた任天堂。
しかし2012年頃からは、自社での映像配信にシフトしました。
そのメリットは?
- 発表のタイミングを自分で決められる
- どんな構成にするかも自由
- 尺(放送時間)を調整できる
- 情報量や見せ方をすべてコントロールできる
つまり、余計な制約なしで「ファンにとって一番伝わりやすい形」を自分たちで作れるようになったのです。
ファンと“直接”つながる仕組み
以前は「記者会見 → メディア報道 → ファン」という流れでしたが、今は 任天堂 → ファン へダイレクトに情報が届く仕組み。
これこそ「Direct」という名前の本質です。

2. 期待をうまくコントロール:がっかりさせない仕組み
バリエーション豊富な番組形式
ニンダイにはいくつか種類があります。
- 通常のニンダイ:任天堂タイトル中心の大型回
- Mini:短尺で軽めの情報中心
- Partner Showcase:サードパーティのゲーム紹介
- ○○ Direct:特定タイトルにフォーカスした特別回
こうやって形式を分けて発表することで、ファンの期待を適切に調整できるのです。
「今日はパートナー作品が中心なんだな」とわかっていれば、不要な誤解や落胆を避けられます。
告知の“断り書き”が絶妙
任天堂の告知文には必ずこうした情報が入っています。
- 「放送時間は約25分」
- 「今後数か月以内に発売予定のタイトルを中心に」
- 「Nintendo Switchのゲームについて」
これによって「思ってたのと違う」という視聴後のネガティブ感情を防ぎ、むしろサプライズがあれば「嬉しい誤算!」として受け止められるのです。
3. 番組の作り方が天才的:冒頭とラストに仕掛けあり
視聴をつなぎ止める冒頭10分

番組の最初は「この先も見よう」と思わせる最重要ポイント。
任天堂はここに必ず“強いカード”を持ってきます。
- 人気シリーズ(マリオ、ゼルダなど)
- 映像映えするトレーラー
- ファンが注目しているジャンル
これで冒頭から視聴者を一気に引き込みます。
中盤はテンポ重視の「Headlines」
2017年以降導入された「Headlines」コーナーは、小粒な情報を短時間で連発する構成。
これにより「自分の興味は薄いけど、この中に1つは気になる情報がある」という状態を作り出し、視聴を最後までつなげる役割を果たしています。
ラストの「One More Thing」
4. 世界中で同時に盛り上げる:グローバル展開の力
世界同時配信+多言語対応

ニンダイは同じ時間に世界中で同時放送され、各地域ごとに翻訳も完備。
これにより:
- SNSで一斉にトレンド入り
- 世界中のファンが「同じ瞬間」を共有
- 実況配信や同時視聴が盛り上がりやすい
というグローバル規模の熱狂を作り出します。
SNS拡散を後押しする工夫
- #NintendoDirect のハッシュタグを全世界で統一
- 視覚的にわかりやすいサムネイルや画像を事前用意
- 配信直後にトレーラーを細かく分割し、各国アカウントから同時投稿
拡散の“燃料”を公式がすでに用意しているため、ファンは自然と投稿・共有したくなる仕組みになっています。
5. サプライズ演出が神レベル:期待と裏切りのバランス
情報管理と期待調整
- 任天堂の自社タイトルは基本リークされにくい
- サードタイトルは多少漏れることもあるが、最初に「Partner Showcase」と伝えていれば期待の調整が可能
こうしてサプライズを守りつつ、漏れがあっても失望につながらない工夫がされています。
サプライズの種類
- シャドウドロップ:発表直後に即配信開始
- ティザーからの段階公開:少しずつ熱を高める
- 誰も予想していなかった発表:期待を超える衝撃

年間スケジュールの妙
年に4〜6回程度の開催で、大規模発表と小規模発表を組み合わせることで常にファンをワクワクさせ続けます。
6. 見た後すぐ行動できる:購買につなげる仕組み
4つの情報レイヤー
- 完全新作発表(先の未来を見せる)
- 続報や発売日決定(購入準備を促す)
- DLC・追加コンテンツ(既存ユーザーを維持)
- 体験版・即日配信(熱量を即行動へ転換)
購買行動を逃さない工夫
- eショップを同時更新
- 予約や購入ページを即オープン
- 体験版や限定版をその場で案内
「欲しい!」と思ったその瞬間にアクションできる環境を整えているのです。

7. 2025年の動き:次世代への布石
直近では:
- 7月:Partner Showcase(25分)でサード中心
- 9月12日:大型回が予定され、Switch 2関連の期待も高まっている
こうした「小出し→大型発表」のリズムで、1年を通じて飽きさせない戦略が展開されています。
まとめ:なぜニンダイは毎回バズるのか?
ニンテンドーダイレクトが毎回話題をさらう理由は、この5つに凝縮されます。
- 完全コントロール:発表の時期も内容も全部自分で決める
- 期待値調整:事前に情報を整理して“がっかり”を防ぐ
- 番組構成力:冒頭・中盤・ラストで離脱させない流れ
- 世界同時熱狂:グローバルにトレンドを作る仕掛け
- サプライズ設計:予想を超える演出でSNSを沸かせる
つまり、ニンダイのバズは偶然じゃなく「設計された必然」。
他社も真似しようとしていますが、任天堂ほどIP・演出・タイミングが揃った企業はなかなかありません。
やっぱり任天堂、すごい!

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